14.野口ベランダ
14.野口ベランダ
くすりゆびほの暗い春を隣に
凍星も幾重に撥ねるカーテンの凪
空のポスト寒空の下いきてみるのよ
雪雲もぼくらの化石もとけてゆく
鴨川や橋をパースに冬は流れる
マフラーに紅を巻き込む鏡前
冬がこぼれる雪が土とまじっていく
靴紐や葉の冬枯れのアクセント
千鳥追う環状線のレールは軋む
日焼けあと春が来るのは向こう岸
着ぶくれて割れた花瓶もぜいたくを知る
スリッパを脱いで寝転ぶ下宿替え
黄身のままおかす白身は花曇り
遠くに行こうカプチーノはまだ苦いけれど
鴨川やまだ残つてゐるp2の終わり
仮眠する舌先に落つ梅模様
足音をひろつてまげてできた街
信ずれば桜がひらりかわせばとんび
菜の花やささやきだけを地中に埋める
肩車サクラだけでは降りられぬ
歩くただ歩く前の幸せを追い抜かす
指きりもしないで耐える入学式
鞦韆を蹴飛ばして風軽い紐
右脚をふみしめるたび新世界
木漏れ日に誰ぞ焼き付く青の群れ
夢日記「」からの逃亡
ベランダに攪拌するな三時前
エンターキーあしたここで何を決める
水ぶくれふぅとつく息ため息ではない息
日常がしずむ地平に爆ぜる雲
汐風の波紋にほどく洗い髪
夜行バスおばけピエロとソリチュード
あいうえおタイプするざっくばらん
呼び声は花占いを蹴散らして
水盤にひたりとしなる茶髪食む
タカラモノ秘する密める入道雲
子らを待つ横断幕とパイプ椅子
電飾か反重力をかきわけて
背伸びしたかれのニットにつく毛玉
うなずいた言葉を燃やす霜の上
夏休み怠惰を燃やすうすい影
悴んだ足音にさえ君を待つ
軋ませてかすれた閃火目を焚べて
言うなれば貝も水面も花なのに
雪のさす路地に泳ぐは縮尺のうを
初空にひび割れの飴透かし見る
セパレヱトまだ細雪は錯覚か
青かれど濠太剌利に春は届かず
冬空にゆるり溶けゆく彼のアルビノ
平手打ち痒さよさらば 潜水!

