京都俳句賞

京都俳句賞応募作品11

11.摂氏華氏「けだもの戦記」

11.摂氏華氏「けだもの戦記」

 Ⅰ みなごろしの歌
戦前や深雪に千の鈴を埋め
文選工朕の一字を拾ひけり
三ツ矢サイダーに濡れたる歿一字
勲章はみんながらくた春の風
一つ星ともしびのやうでありました
咳 それがどうしたってんだい、あ?
一歩前! 便器ではなく上官へ
玉杯ニ天津(アマツ)日嗣(ヒツギ)ヲ受ケニケリ
股肱ゆゑ暴力を愛することを誓ひます
朕思ふゆゑに朕あり草わかば
青嵐鬼畜米英日独伊(露中仏イスラエル・・・)
わたしたちけだものだものc摂氏華氏
マツロハヌ 蠛蠓ナラバ斬首セヨ
成セバ成ル成サネバ成ラヌ三光モ
突撃!縦列よりも横列に死は平等
兎狩万緑叢中(おう)一点
夕枇杷は死ねよと言へり地球人へ
風光る山上たつひこの本気(マジ)
慰問の夜 公演「後藤(ゴトー)を待ちながら」
光年や手榴弾いま宙にあり
あぢさゐのこはれやすくて手にはらふ
蚊遣火はこの世の俘虜か横に靡く
秋麗やバターを包む銀の紙
秋風や明るい国防婦人会
畳屋とn個のわれと地雷原    
机上には戦場がありうろたへる  
蛇惣(へびそう)」の赤まむしの粉散るや若草  
食べ吐きの初年兵よ春泥を跳べ
国連脱退満場一致とはゆかず 
白萩を押しわけてゆく戦車かな
切株に逆立ちをする飛行兵
死の中に(あひくち)はあり冬銀河
天地(あめつち)(あはひ)にほろと迎撃機
宝石は夜光性なり乱歩の忌
息づいて透きとほりゆく鳩兵は
すべりひゆ「感傷と残酷は盾の両面」(スーザン・ソンタグ)
ゆく秋のフウセンバクダンって何?

 Ⅱ 配給(おやつの時間)
カールおぢさん麦藁帽は胸のうへ
唇にはさむエリーゼ夏の果 
チェルシーをあげたい『潮騒』の初江に
ピッカラは楽器の名ではありません
軍法会議きのこ派VSたけのこ派
妹よ、ポポロンは木琴の音
源氏にあらずんばパイにあらず
鼻さきに車輪のかたちスピンよ回れ
ポッキーで作る春といふ字
ジューCをおすそわけ演習の帰途 

 Ⅲ 殺さない兵器の歌
狼煙村一億番地のみ凶作
核酸に浸す極楽小鳥来る   
ニュース映画鰯雲の黒焦げ
万策尽きて満州を露とせる
玉音が我が心臓を耕しぬ   
脳髄を極彩色に滴りぬ  
宮柊二山西省を出て朧 
令和はや衰へ台湾有事かな  
人はみな何かを武装 酔芙蓉
峯雲は核弾頭を蔵したり
海市より打電「ニイタカヤマゲザン」
浅田飴 声を冷やして出撃す
(さぶ)っ、涙が勝手にでて困る
敵機襲来!赤いドットの現在地
殺さない兵器になるよ、四月だし
気づくとは傷つくことぞ春疾風
五反田を兵器さまよふ春の暮     
原爆ドーム折り鶴に脚生えている 
ブロンズの鳩の羽搏つや原爆忌
千羽鶴ことごとく黒 喪章ゆゑ
閲覧制限はだしのゲンに行き場なし  
靖國を影と影とがすれ違ふ      
兵を選る零を発見するやうに
木星のごとき西瓜を冷やしけり
鶏頭をはみ出す赤に触れにけり
風花が・・・鳩兵石田(てつ)()殿
家系図のこんなところに自警団
ねたにやふ顔大写しビル壁面
夜の霧アウシュビッツからガザへ
戦火あり遠きガザにも銀河にも
花氷ワグネルの乱鎮まりぬ   
レタス葉の虫喰いプリゴジン氏の死
雪原にドローンの影夥し
地対空ミサイル枇杷の種堅し
鉢巻きや第一高等女学校
回天を滑る雨粒みな涙
行軍や蟻の百歩に追ひつかず
蟬穴や地下水道に出口なし
闇が火をはねかへしゐる戦勝祭
質草にならぬ位牌や衣被  
御真影だんだん見えてきて素敵   
戦死アリ手帖に遺す土筆の句  
肘と肘触れあふてゐる遺体かな
遺骨なし石ころひとつ箱の中
遺児の名は重子(かさね)遺作のなかに生き
犬小屋に遺る首輪や春時雨
銀河より摘み来し菫かと思ふ
金箔にさざなみ立てり三島の忌
白息をととのへて言ふありがたう
師は逝けり霧をゆく白馬のやうに
生きるとは何 青草の中に伏す
幼年や浮巣ながれてゆきにけり
万緑に渦のうまれて遠ざかる   

計28時間約2200句が誕生した例のパフォーマンスがアーカイブに!

2025京都大学祭NF企画「東海。道五。拾三。次。」のアーカイブページが公開されました。

収録内容に、

・映像3時間

・コラージュ作品12点

・俳句約2200句

・パフォーマンス写真140点ほど、その他パフォーマンス映像など

こちらからご覧いただけます

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