13.馬場叶羽「都市に蝶」
13.馬場叶羽「都市に蝶」
街頭の天使見つめり春の粥
とどろけば春濤かなし塔の庭
怒涛 問われて蝶の色なかりけり
重力の水それはおののく春のものうさ
青い砂時計 麦踏の肺のなか
君のブロンドも朧めいて 天使は?
花嫁 異邦のごとく沖の朧夜
水道が発話する桜蕊のすきま
海蘊吸う詩人というものは何
花散るや馬の鈴には馬が居るか
鼻っ面言うんよ初夏の塔のこと
美味そうやあらへんアレは闘牛や
降りみ降らずみ逢坂を夏の犬
逢引きのつぎつぎ見え隠れ涼し
ひもすがら眠るも実桜のたわわ
夏蝶やロックンロール虹を踏む
鳥瞰やゆううつ滝のなかにあり
損切りとして鼻先が滝になる
脊椎のメトロポリスや夏の雨
論争になめくじの身を反らしけり
掃苔の足をもたげているところ
未生の冠 ときどき草笛の耳たぶ
カタコンベなら蝸牛彷徨す
グラフィティーアート地蔵の灼かれおり
ピストルと弩級戦艦立葵
ソウルバーニング夏草の轟けり
青い電球は玉葱の舌を持ち
留守の間にゆうれいの来ておりしかな
生桃はゆうれいが食う森に橋
せやけどジーザス秋雨を行きしまま
弔いのナイチンゲール月か霜か
一つ家に遊女殺めし月夜かな
酔えサフランよ女は都市にこそあらね
双眸のデカルコマニー芒原
降りしかば芒を回向ありにけり
秋蝶のおそらくラカン帰りなさい
こんな大花野が我が息子なのだろう
たましいのかたち鶏頭ならば燃ゆ
金色 置いてけぼりの秋がざわめく
ペテン師とスケッチブック小夜時雨
葱買うてゆきし家路や死後は川
人走る 夢の枯野の御堂筋
凍蝶のひとつひとつが刺さされけり
小さな肋骨の猟犬になりきれず
あたま痛くて朝は凍蜂が匂う
凍る肉体氷上の声を舟となす
海に絶嶺わが肉体の泳がざり
隆起なく砂糖は都市よ春隣
ゆりかごが二つ障子の奥にあり
大阪や雪と太陽とどまらず

