京都俳句賞

京都俳句賞応募作品17

17.超文学宣言「露西。亜未。来主。義。」

17.超文学宣言「露西。亜未。来主。義。」

事物の叛乱
いったいなぜ、われわれは事物を甘やかすのか?

拳にぎれば熱に音亡く橋戦ぐ
さむぞらにパターンのビル上部で捻じれ
微々たる水に菌殖えつづけ爽やかさ
バレンタインデー大学に地下あまた
飛びやすい燕の空を駅は持ち
風にやや荒れて四月の塔になる
公共のトイレで暖をとりねむる
曇天の廃機関車の一室茂る
そのうちのひとつの窓が部屋の凪
上気する喉を興奮する雀
図書館のすずしい腕をめろと撫で
暑のおくのうつとりと反る橋だつた
とぶ蝶はときどき暗い。団地吹く。

臥す
眺望に凝視がいない春も冬
憤激の昼に乾いて道路の毛布
芒原殴打に古い書をつかう
千枚の舌に小児科あたたかい
空洞のなにが冗談雪をみる

ギレヤ
回転扉よりおもむろに日浴びする
全体が畑で部分がもろこし
構成のよわい両眼をうららかに
眼の玻璃?くれの三角州(デルタ)へ出てかがむ
造形を馬二匹駆け微風あり
か。げ。と。四。角。の馴れ合う反射炉に月がのぼる
誰が居た部屋。円柱!骨格外にでる

同心円
バジルの想起した門 断崖に王蟲を裂く
声が出せない夜はいちじくともあそび
異郷の牛乳声帯をいまかよったか

北方の花、シンボル
足上げれば足はかげ見せ野を遊ぶ
羊の翳を追っていた。夏は冬
信仰の烈しき虫の闇駆り立て
漠然と最後の滝と思いつつ
沈丁花やぶ奥に花持たずあり
見つづけてオウムのくらき首茂る
散文をみる涸れ川に少女たち
天道虫の背に指の赤劣り
禁欲の午後の岸辺の風余し

舞台装置
多才にて映像すべて雪を撮り
馬鹿な泉へ真暗な眼が進む
劇のまなかをしろい灯火ら萌えてゆく
うつむけばペルソナに木の洞うかぶ
なめくじのうすくあのにますなからだ

光線
はえが噴く奥のまぶしい木陰と木。
東洋の絵ばかりあ(つめ小鳥くる
岸に波撥ねジーンズの青を増す
氷河期はすこしづつ果て夏休。
ながらくわすぴいどかんの壁の月。
異なる花も葉を噴いて照りわたる

梨の木
テクストはきびしき狩の足を読む
意識とは出島のように林枯る
あたたかな居間の夜景でもぐりあう
遠くよばれて離宮の門が灼ける
法を出るときたちまちの草があつい
稚児の哭く舟ゆく沢に、なにか(思いだした?)

立方体
切る鯖のこのあかぐろい鰓だれる
カジノの階段より九月のまぶた二枚(が)
断続のかつてラジオのフューチャーさ
導線に銅朱く燃え 橋。橋。橋。
宙に吊るひとつの逆説の運河(だ)
ふらん、せ、得、ずに野を遊ぶ有神論
暴き。白い。香水つよくうっていた
……ループだろうか瞳をみれば(ほと)に似る
機、と、知。左眼にあきは酸く傷む
亜。と。阿。は。湾岸の。鷺紛れていく

原初の百合
かとの尾をながめていれば失った
腸詰の羊もここにいて枯れる
ふるえるか。書けば春夜の水面あり
瀧が隠す。ダストは闇のはつゆきか
観念にものを云わせるのだ。月よ!
狂いなおすいままでのウミウシのすべて
はやい燕がストーブへ焦げに来る。
立派な木の橙は取り壊しに実る

革命
まいにちが革命前夜。歯をつかう
襖絵の襖ひらけば絵裂かれて
手からはじめる革命あすにはさみだれ列車にのる
蜂起の音をきょうに生まれて蚊は聞いた
彼の岸輝く。花瓶しばらく花挿さず
雨は凍らず北へ北へ北へ北へ

革命。それは過去と現在の死を認め、ありとあらゆる退屈な未来をこそ殺害し、絶対無季へと至る平面運動となるはずだったというのに。その殺人事件後の風景からわれわれは言わなくてはならなかった。殺風景の未来こそが現在であると。

王様を見たことがなく春眠る
結氷期。仕事のできる手足とも
暗い資本を洋猫渡り架橋する
アメリカの桜の浮いてくる孤島。
無季のブランコより有季のブランコへ(うつる)
明けて手の改めてあり蜘蛛の巣も

計28時間約2200句が誕生した例のパフォーマンスがアーカイブに!

2025京都大学祭NF企画「東海。道五。拾三。次。」のアーカイブページが公開されました。

収録内容に、

・映像3時間

・コラージュ作品12点

・俳句約2200句

・パフォーマンス写真140点ほど、その他パフォーマンス映像など

こちらからご覧いただけます

コメントを残す


*