京都俳句賞

京都俳句賞応募作品2

2.喃多哩唖里玖「未必の躰」

2.喃多哩唖里玖「未必の躰」

「母と子」
修羅は語る我が心霧の如く
手が滑る如く心に罅容れる
許可取れ、私に対して許可取れよ
五月蝿い蝿よ、振り払え薙ぎ倒す
意のままに物言わぬのか木偶の坊
云った矢先の拒絶、快迸る
投げつけた言葉の重さを忘れる程 
生き残った権利を行使するだけ
庇う程保たれる私の意識
修羅の春何も生まぬただ涸れる
言いなりになるか、言葉だけ沁み入る
あんたが何を言おうと親はわたし
なにゆえ腹が立つほど憎いのですか
たらちねの修羅と成りし幼心
輪廻は自死を促す訳ではない

「他人と己」
とりかへばや、心は誤魔化せないわ
更新するまで「キライ」にしがみつく
離さない話さない憶えてほしい
他人と私、誰だっけの輪郭
執着する心と言葉裏腹
ごめんと言えないくらいに傷つけた
罅入る前の疵をなぞり取るだけ
傷付いても想定内、共依存
射程内の気持ちだけ平行線
囚われているってこう謂う事だと
乞い願えど想いはただ重いだけ
言葉をばら撒くのは見て欲しいから
放つ言葉の所在地が無くなった

「自己愛」
私可愛いと云う人の腕の疵
残酷な分だけ私を見て欲しい
薄気味悪い感情こそ深呼吸
硝子越しに見てくれてありがとう
投げつける言葉に価値は無くても
否定の言葉こそ愛が宿るの
指示通り動きなさいと云う権利
私の写絵≠鏡の似姿

「私と性」
しがみつく私と手放せない自己
手に入れた事それがゴールだってさ
飾りでもトロフィーでもない表徴
ヰタ・セクスアリス未分化一瞥す
会いたいと相対す本音がざらり
無性です。宣言は虚しく霧消
誰でも佳いのと誰でもないの間
ポリアモリーに自他・教誨は遠し
我がクィア違和感生ずるがままに
仕草で判断して、退屈なのよ
私を護る牆壁(しょうへき)乃ち無性
愛想だけ青春売ります買います
学んだ成果 学んだ性か斫(はつ)る
駆け抜けるだけの青さはすぐ濁る
未熟を抱きて躯はただ臭る
後腐れなく放つ言葉の在り処
ボオドレエル破壊する乱される
千々に乱れよ躰より肚の内
肚を喰い破る(つまび)らかなる欲
スキキライもカラダもみんなきらいだ
ただラジカルにカラダだけは馴れ合う

「私と社会」
帰属せよ従属せよ思考放棄
思考よ(は)(し)れ、ただ精緻な歯車
思考の淵 可能性の帯を視る
カオスの根源 腐り果つるは自己
悪意の験 崩壊に彷徨す
「私の意見では」はただの逃げです。
成熟は海に漂うキリハズシ
あらまほしき繋ぎ留める世の中
プリズム ダダイズム 破調の檢べよ
腐敗する 不拝す ヒトナラザルモノ
飛び込むように乗る亜の群像たち
夢は幻日喪ふ輪郭線
落伍者こそ惑わす蹴落す逃げろ
能力の多寡は言説では拭えぬ
我が身が透き通るが如くの日々よ
諦めるも日常、ただ過ぎるだけ
吹聴する度(あき)らかたる無能
騙し騙されるだけの千夜一夜
塵芥の戦術は容易で稚拙
切り離す毎、途切れる自意識の澱
引き返すのはこのまま消えたいから
創造されし()(ざい)と不在の我
帰属する意識だけからからと廻る

「私とは」
無意識の贖罪意識こそ本懐
胡蝶の夢、実であるか虚であるか
願わくば、身が朽ちて実が果てるか
言葉を忘れるくらいなら消えたい
空ろな躯。音だけ反響する
体は私のもの。心は誰の?
明滅する自己、命の灯火よ
私を象るモノ残滓の潮流
蓋し悪意は実効性を帯びる
未必の躰運命の帳、魔性 

計28時間約2200句が誕生した例のパフォーマンスがアーカイブに!

2025京都大学祭NF企画「東海。道五。拾三。次。」のアーカイブページが公開されました。

収録内容に、

・映像3時間

・コラージュ作品12点

・俳句約2200句

・パフォーマンス写真140点ほど、その他パフォーマンス映像など

こちらからご覧いただけます

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