京都俳句賞

京都俳句賞応募作品23

23.岡本龍「龍」

23.岡本龍「龍」
雪原を越え難民となりにけり
にはとりの絞めゐて微動冬銀河
靴裏はまつくらな街寒波来る
半壊のチャペルの毛布ばかりかな
冱つやいま孔雀が羽を広げむと
波のきてそのうえに波冬怒濤
仮面脱ぐ冬満月が眼の穴へ
水彩の海に霜夜の押し寄せぬ
能面の闇吸ひやまず隙間風
白菜を数枚捨てて同棲す
五臓腑の抜けたるミイラ雪霏々と
春朝の豆腐に余震来てをりぬ
ふらここの風に乗られり我も乗る
春愁といふほどでなきことばかり
身の闇にすみれ一株ばかり欲し
大凧をひつくり返しても無音
立春のジャム掻き混ぜる小さき匙
落第の奴が手を振り振り返す
春昼の手ごろな雲と戯れぬ
卒業や色麩三つのすまし汁
人のゐてしづかに仕舞ふ春日傘
鉢植の裏のにぎやか春の露
髪洗ふ受胎を夫に告ぐ前に
肉叢とならむパセリを口にせり
息継ぎに喉下がりをる平泳ぎ
瞑想を蠅のぶうんと横切りぬ
夏痩の刺青の背を洗ひけり
紙に取るくちべにや夏館去る
勾玉のやうにくるまる夏布団
ざりざりと檻入る夏至の飼育員
ぎやまんの底に照りたる赤葡萄酒
目高痩せ腹のひかりを失ひぬ
香水に溺れさうなる聖像画
日焼け止め塗つて外出せずにゐる
空蝉の首ぶち切らる出会ひかな
腕寂し藤椅子に腰掛けてゐて
離島より白きサンダル来たりけり
冷やす牛刻の遅れて来てをりぬ
滝落ちて滝壺のなかまでも滝
天牛の斑に夜を散らしけり
航跡のひかり閉ぢゆく残暑かな
揚花火小さき蕊を残しつつ
風を編む十指の真白阿波踊り
死ぬ蠅を見つめてゐたる秋の蠅
秋風や後ろから読む全句集
ノックやや控えてゐたる夜食かな
秋麗や土俵をくずす槌の音
蟷螂のまぐわひながら首喰はる
ミイラてふ生き方もあり暮の秋
身籠りて脳のふたつや鶏頭花

計28時間約2200句が誕生した例のパフォーマンスがアーカイブに!

2025京都大学祭NF企画「東海。道五。拾三。次。」のアーカイブページが公開されました。

収録内容に、

・映像3時間

・コラージュ作品12点

・俳句約2200句

・パフォーマンス写真140点ほど、その他パフォーマンス映像など

こちらからご覧いただけます

コメントを残す


*