京都俳句賞

京都俳句賞応募作品26

26.野上翠葉「Not Numbers」

26.野上翠葉「Not Numbers」
Not Numbers   野上翠葉
僕のふらここからISSぱきゅん
春眠の国にあこがれてしまふの
副詞などとうに忘れてヒヤシンス
げんごろう一人では握力が要る
チェルノブイりってもチェリーブロさむれる?
ゆーえーのロボットは原子炉まなつ
すりがらすごしに幽霊せつなくなれる
汗の這ふ溝に女神の名のあって
われら被爆国をりをりにケルン見ゆ
さはやかに納骨堂の咽せかへる
万葉に人称おほし蔦かづら
いづれまた戦ふ天の高さかな
トタン屋根そのかなしさを月は見せる
だが既に北北西を向いて鴇
火の恋しさよ エレベーターに鏡像
冬は来る黄色い線のうちがはへ
平日のひらがなに似て浮寝鳥
暖房を涎の匂ふ枕かな
認証にマスク外して僕である
東西南北に神ゐる炬燵かな
われらベッドタウナー初夢をまはす
拭くまへに熱いシャワーを浴びてゐる
くりかへす雪はダビデの星に似て
痛覚をきびきびさせてアスパラガス
スウェットの首吊りみたいな春だった
白鷺の裔は歴史に飛びたがる
かんたんに蛇はじまりをchronicる
うみがめと砲弾すれちがふところ
滝の向かう子どもを含む百余人
ゐる母のスウプに豆のすこしある
麦はこの虐殺を支援してゐます
マジックのなまへ。記憶の四肢とする
砂漠ひえて眼中のもの皆廃墟
コカ・コーラつぶして現在が及ぶ
月面は核の届かぬゆゑ涼し 
ガザでなくなる は このやうに あのにます
少年の首ほっそりと旱星
いうれいの亜麻色はとぷとぷ垂れる
あの火蛾をよぎってニュースすぐ古びる
水系のからだ十月七日をくぐる
二十一世紀に生まれ踊りけり
黄落に呂律は遮られさうで
逆夢のメトロを雪のぐじゅぐじゅと
でぃすとーしょん! 兎に喉のなかりけり
吊革をもたれ直方体だらけ、だ
権力のそこかしこにゐるマスクかな
やがてラララ核の子となり実南天
しぐれてよ僕が少女でゐるうちを
くろがねの塔はさぞ冬ざるるかな
水仙としてでなくては踊れない
閉ぢやすいかばんを多喜二忌とおもふ
新宿は雪どける。眼鏡をしてゐる
じはじはと霞と霧の均されて
あかいかじつかじって有権者わず
國體てふはんかちいふの濡れそぼる。
逃げ水に少女いま影を失ふ
凧あげればその十字架も上がるだらう
みつばちもひとも集団的自衛
列島に人なみなみとしゃぼん玉
芋蟲を迸りたる昭和もだん(もだん)かな
門わづかに潤って菩提樹の花
永久にこれをさくらんぼとした、した
腕章 しまうまさんのぱじゃまだね
軍靴もて蚯蚓は眼とりもどす
ひきがえるひからびる罅ひきうける
百姓の国ぺんぎんのゐない国
びいどろや抑へても抑へてもうみ
夏果テテ英霊ト謂フコト勿レ
葡萄もぐやうに軽火器あつかふの
血しぶき浴びて馬のみるみる肥えるかな
醒めきって秋は戦線えいゑんする
息白く見やう見まねの少年兵
水筒をからうじて水であり伝ふ
From偏to遍 ウランの山眠る
熱だけがリアル
星間物質ごしの花火だったかもね
迎へ馬には赤兎馬もゐるかしら
もそもそと僕といふのが穴に入る
過去は雁は届いたらうかこの街へ
雪とめどなく一角獣むせぶ
なにごともなく湾曲に沿ふ鴎
冬凪にゐる。これからになりたがる
だらしのない言語野へようこそ脱兎
冬そっと浜のほつれを縫ふ夜汽車
晩冬を人魚くの字になり睡る
なにを許して春野は灰をすれちがふ
朧めくはちみつ砂漠にゐるままに
とにもかくにも羊のすべてがネモフィラ
白く昏い午後を手と蝶なぞりあふ
かけがへのある惑星を花の雨
闇とがざみにすったもんだがありまして
共和国にてゑんどうの飛んでゐる
忌やみんな灼けてサーカスらしくなる
僕ら今もえいゑんだった麦の秋
からっぽな胸に翡翠まぢで来る
青いばら折る折る折る折る祈りかな
蛇や第三宇宙速度の巡礼す
はまなす の right な がは の will ひらく? 
くぼんでもプラトーぜったいのこゑだ
方舟もあるし平泳ぎもできる

計28時間約2200句が誕生した例のパフォーマンスがアーカイブに!

2025京都大学祭NF企画「東海。道五。拾三。次。」のアーカイブページが公開されました。

収録内容に、

・映像3時間

・コラージュ作品12点

・俳句約2200句

・パフォーマンス写真140点ほど、その他パフォーマンス映像など

こちらからご覧いただけます

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