6.白川譽「うつろい」
6.白川譽「うつろい」
桜草姉の髪型の真似をした
春知らすミスドとマックのてりたまが
スローリーペースに恋す紋白蝶
蜃気楼ハルシネーション信じてる
黄の花や一斉に仰ぐ春の青
街に立つ菫のいぶき芳しく
ペンギンが春風を追って高いとこ
木曽の路おい待ってくれてふてふや
一身に春雨ぱあっと猫は水
赤煉瓦じんと恋した紅つつじ
死について春の光とベビー靴
末の子の白い手握り駆く新緑
茂る山澄む湖畔すら藻に染める
黒アリを避け横道に逸れる百合
夏雨去って天蓋捲ったレンジ蒸し
デコポンの日焼けた肌をあん摩する
粗塩の大波スイカ乗りこなす
汗みどろ苦労は買ってでもするな
蝉でさえ他出控える猛暑の日
漆喰がさもくずるるや八月の青
ブラインド西日がさしたマーカー線
生き急ぐ虫を探せば風鈴か
朝顔やいのちのいの字背で諭す
補色かなまだ淡い秋と深緑
目が合った秋のつつじはモリゾー似
めぐるぐる青を旋回赤蜻蛉
目があってまた赤くなる木々ときみ
秘密だよ隠元豆の幼年期
桔梗咲き寄る辺埋まった故郷の土
星をみていぶきを弾く銀杏の木
愛される秘訣知るなら南瓜かな
ビーカーに生姜湯をポ。注ぎみる
凩がこすい私の頬を張る
きりぎりす今楽しい歌それは宵
勝負の日キメたトップスうろこ雲
進路室傲慢な案山子退路立つ
さわ花野セーラーこしょこしょ多幸色
ピルクルを買い足す日から初冬かな
「やってやれ!」寒風にビンタされて今
年の瀬を雄弁に語る我が子の背
神の留守畳へり踏む古紙雑誌
キャンドルの輪郭舐める露伝い
ゲレンデの深愛なる彼お元気で
初鏡羽より軽し純白ロリィタ
絵双六余人の手ばかり気を揉んで
湯豆腐に息を吹き込み眼鏡もく
綿雪と松坂牛の食べ比べ
冬鴎友達としては三流か
女性誌のセットアップが牡蠣に似る
冬ざれに母が怒鳴って帰路を行く

